仕事が原因でご家族を亡くされた方

 まずは、大切なご家族を亡くされた皆様には、心よりお悔やみ申し上げます。
 ご家族との突然の別れを経験された皆様の悲しみは、言葉では表現できないほど大きいものだと思います。
 ましてや、その原因が仕事にあると考えられる場合、納得がいかないというお気持ちも強いのではないかと思われます。

 業務中の事故(墜落事故・交通事故など)が原因の場合はもちろん、過労(長時間労働など)や仕事上の様々なストレスを原因として、脳・心臓疾患(脳梗塞や心筋梗塞など)を発症し亡くなられた場合や、精神障害(うつ病など)を発症し自死された場合は、労災として認められ、後述するように、労災保険から様々な給付金を受け取ることができる可能性があります。

 

「過労死」とは

曇り空

 過労死とは、簡単にいえば「働きすぎによる死」です。具体的には、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡」や、「業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡」のことを指します。
 日本では、過労死が大きな社会問題となっています。
 厚生労働省が公表した令和5年度の「過労死等の労災補償状況」によると、過労死等に関する労災補償請求件数は年間4598件(生存事案を含む)、支給決定件数は1099件(うち死亡・自殺件数は137件)となっており、非常に多くの方が過労や仕事上のストレスにより亡くなっていることが明らかになっています。
   厚生労働省が公表している「脳・心臓疾患の労災認定基準」によれば、
① 疾患発症前1か月間におおむね月100時間を超える時間外労働が認められる場合
② 疾患発症前2か月から6か月の間にわたりおおむね月80時間を超える時間外労働が認められる場合
には、業務と発症との関連性が強いとされており、過労死の労災認定がなされる可能性が高くなります(いわゆる「過労死ライン」と呼ばれています)。
 したがって、このような時間外労働をしている場合、危険レベルに達しているといっても過言ではないでしょう。過労死ラインを超える長時間労働をしている方、そのような方がご家族にいらっしゃる方は、特に注意が必要です。
  また、ハラスメント等の仕事上のストレスにより精神障害を発病し、自死されるという方も、非常に増えています。

 

参考:厚生労働省|令和5年度「過労死等の労災補償状況」を公表します

 

「過労死」が起きてしまったら

 一方で、働く人や企業に対し様々な注意喚起がされていたとしても、長時間労働やハラスメントなどの問題はなかなか改善されないのが現状であり、残念ながら、過労死でお亡くなりになる方は後を絶ちません。
   不幸にしてご家族の方がお亡くなりになってしまった場合には、労災の認定を受け、さらには使用者の責任を追及するため、きちんと事実関係を調査し、業務が原因であることを立証するための関連資料を収集確保することが重要になってきます。
 しかしながら、過労死等の疑いがあるケースでは、勤務先であった使用者の協力を得られることは稀です。むしろ、現実には、労災隠しといわれるように、使用者が過労などの実態をもみ消すといったことが行われてしまうことさえあります。
 したがって、まずはお早めに、労災・過労死の問題について専門的な知識と経験を有している弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

 

労災として認められた場合

労災

 業務中の事故や過労・仕事上のストレスを原因として労働者が亡くなられた、すなわち労災であると認められた場合、労働者の遺族は、一定の要件の下、労災保険から「遺族補償給付」と「葬祭料」の2種類の給付を受けることができます。
 遺族補償給付は、遺族の生活保障のための給付です。
 被災者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹(ただし、配偶者以外の遺族の場合は高齢・年少・障害等の要件を満たしている必要があります)に対しては遺族補償年金が支給され、遺族補償年金を受け取るべき遺族がいない場合には遺族補償一時金が支給されます。
 葬祭料は、遺族が葬儀を執り行うために支払われる給付金です。
 また、事故の発生や過労・仕事上のストレスによる死亡について、使用者に責任(安全配慮義務違反や使用者責任)が認められる場合には、使用者に対して損害賠償請求をすることが考えられます。
 当事務所では、事実関係の調査・資料の収集から、労災の申請・認定、その後の使用者に対する損害賠償請求に至るまで、すべての面で皆様をサポートしていくことが可能です。
 お一人で悩まず、是非一度ご相談いただければと思います。

 

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