長時間労働による過労死の労災認定を獲得した事例

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<事案の概要>

 相談者は、過労で脳の病気を発症して亡くなられた被災者の妻でした。

 被災者は、運送業の会社で運行管理の仕事をしていましたが、日曜日以外にほぼ休みが取れない状態で、連日、早朝から深夜まで長時間働いていました。被災者が脳の病気を発症し亡くなられた原因は、このような長時間労働によるものであると考えられたことから、当事務所は、相談者から過労死の労災申請のご依頼をいただきました。

<解決に至るまで>

 過労死の労災請求の場合、時間外労働の実態を証拠・資料によって明らかにすることが非常に大切です。ここが最大のポイントになります。しかし、相談者は、被災者(夫)の会社での勤務実態を把握できませんし、タイムカードなどの労働時間を記録した資料も手元に保管できておりません。会社側も、資料の任意開示を一切拒絶しました。

 そのため、被災者がどれくらい働いていたかを明らかにするために、できる限り様々な証拠を集める必要がありました。

 そこで、当事務所では、裁判所に対して「証拠保全手続」を申立て、裁判手続を通じて、会社に存在する資料(点呼簿、メール送信記録など)を開示させ、改ざんや廃棄されないよう確保しました。これらの資料が証拠となっていきます。

 加えて、被災者の手帳や、相談者から被災者の出社時間・帰宅時間や家での様子を聴き取った陳述書などの証拠資料を収集・整理し、代理人作成の意見書とともに労基署に提出し、労基署による追加調査の申し入れを行いました。

 並行して、会社に対して残業代を請求する訴訟を提起し、訴訟において会社から開示された資料についても、労基署に提出しました。

 こうした取り組みの結果、被災者の仕事が過重なものであったという労基署の評価のもと、過労死の労災認定(遺族補償・葬祭料)を受けることができました。

<解決のポイント>

 タイムカードなどによる労働時間の記録が残っておらず、最初に分かっている事実や証拠が少ない事案でしたが、あきらめずに取り組むことで、労災認定を勝ち取ることができました。

 特に、証拠の収集や立証方法を工夫し、労基署への説明を説得的に行ってきたことが、労災認定につながったものと考えています。

 過労死・過労自殺の事案は、他の一般的な労働問題と比べて特殊な分野であり、労災申請を行うに当たっても、弁護士が特殊で専門的な知識や経験を有していることがとても重要です。

 当事務所には、過労死弁護団に所属し、過労死・過労自殺の事案に関する研鑽を積んでいる弁護士が在籍しています。被災者や遺族の方のお気持ちに寄り添いながら、より良い解決を目指しますので、是非ご相談ください。

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